ボクは桜、キミは唄う
先生にペコッと頭を下げると、私は真っ直ぐ前を向いて走り出した。
大切な人に大切な事を伝える為。
広場は、私達の中学校の生徒だけじゃなくて、一般の人や、他の中学の生徒も入り交じって、人で溢れ反っている。
でも、こんな事でへこたれてちゃダメなんだ。
必死で、人混みの中を走り回った。
夜空を見上げる人々の中で、私だけが違う方向に目をやる。
違う、違う、違う、違う、違う……。
空を見上げる人の顔を1人ずつ見ては走った。
「すいませんっ」
人にぶつかり、つまずき、それでも足は止めない。
今まで柚木君がくれた優しさの時間を思えば、探し回るこの時間なんてどうってことない。
「……あっ」
顔ばかり見ていたせいで、足下の段差に気づくのが遅かった。
転ぶ!!
バランスを崩した私の目の前には、石段が広がっていた。
ぶつかる!!
体勢を戻すすべもなく、ぶつかる痛みを覚悟して目をつぶった時、
「楓花!」
懐かしい呼び声と、懐かしい匂いが私を包んだ。
柚木君が、傾いた私の体をギリギリのところで支えてくれている。
「……見つけた」
大切な人に大切な事を伝える為。
広場は、私達の中学校の生徒だけじゃなくて、一般の人や、他の中学の生徒も入り交じって、人で溢れ反っている。
でも、こんな事でへこたれてちゃダメなんだ。
必死で、人混みの中を走り回った。
夜空を見上げる人々の中で、私だけが違う方向に目をやる。
違う、違う、違う、違う、違う……。
空を見上げる人の顔を1人ずつ見ては走った。
「すいませんっ」
人にぶつかり、つまずき、それでも足は止めない。
今まで柚木君がくれた優しさの時間を思えば、探し回るこの時間なんてどうってことない。
「……あっ」
顔ばかり見ていたせいで、足下の段差に気づくのが遅かった。
転ぶ!!
バランスを崩した私の目の前には、石段が広がっていた。
ぶつかる!!
体勢を戻すすべもなく、ぶつかる痛みを覚悟して目をつぶった時、
「楓花!」
懐かしい呼び声と、懐かしい匂いが私を包んだ。
柚木君が、傾いた私の体をギリギリのところで支えてくれている。
「……見つけた」