ボクは桜、キミは唄う
「おぉ!」

返事する柚木君の笑顔が眩しい。

柚木君は「じゃあ」と職員室に向かって歩き出した。

私とは反対方向に。

柚木君の背中が遠くなる。

私は資料をぎゅっと胸に抱きしめると、真っ直ぐ前を見て足を踏み出した。

もう迷わない。

もう泣かない。

ちゃんと自分で決めたんだから。


あの後、あの桜の木の下へ私も行ってみたんだ。

そして、誓ったの。

変わらず柚木君を見つめてますって。

その為に強くなりますって。

振り返ると、グラウンドで部活中だった柚木君と目が合った。


柚木君と私の誓いが同じかどうかはわからないけど、もしそうなら、桜の神様、入試が終わったら、私達をまた繋げて下さい。


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