ボクは桜、キミは唄う
「私、先生に入試の報告してくるね」

二人の邪魔をしないように、私は体育館を指差した。

体育教師の山崎先生は、毎朝準備室でボールを磨いているんだ。今ならきっとまだいるはず。

そういうところは顔に似合わずマメだと思う。

「あ、そっか。じゃ、後でね」

「うん」

ナカちゃん、迎えに来たのは私じゃなくて、北川君だったんじゃないかな。

入試を終えて肩の荷が降りた私達は、残された時間を大切にしなくちゃね。

合格発表はまだだけど、すぐに放送された高校入試回答で、みんなだいたいの合否を把握していた。

私もナカちゃんもなんとか合格圏内だ。

後半のナカちゃんの追いあげは本当にすごくて、睡眠時間削って目の下にクマを作ってるナカちゃんを本気で心配したけど。

その努力が実を結んだんだ。

けど、北川君と柚木君が危ないらしい。って、ナカちゃんから聞いた。

でも大丈夫。あんなに頑張って勉強してたんだもん。大丈夫に決まってる。
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