ボクは桜、キミは唄う
「彼女!?」

ナカちゃんが顔を真っ赤にしてしまった時、

「何もたもたしてんだよ、マッチ棒」

彼氏登場。

教室の入口で、鞄を肩にかけながら、睨みをきかせていた。

顔も頭も小さいナカちゃんは、体もスマートでスラッとしているから、今日みたいに髪を全部まとめている時、北川君はナカちゃんをマッチ棒と呼ぶ。

初めて聞いた時は、ナカちゃんには悪いけど、コッソリ吹き出してしまった。

「あ?」

赤らめた顔は一気に冷めた模様のナカちゃん。

自分の鞄を掴むと、投げつける勢いで、大好きな彼の元に走って行った。

あの二人はいつまでも、あんな感じなのかも。

でも、私は知ってる。

ナカちゃんをわざと怒らせて、ナカちゃんに触れるタイミングを見計らっている北川君の事。

触れられたナカちゃんが、怒ってるふりしながら嬉しそうにはにかんでいる事。

携帯のストラップがいつの間にかお揃いになってる事。


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