ボクは桜、キミは唄う
「だ、大丈夫?真っ青だけど」

ふらふらする私の体を支えるように手を差しのべてくれる佐々木君。

「ん……ごめんね」

強くなるって決めた私なのに。

柚木君の気持ちが離れてしまったとわかった途端に、こんなにも足元が不安定になってしまうなんて。

こんなんだからダメなんだ。

「送るよ。一緒に帰ろう」

「ううん、大丈夫」

「こんな元気ないのに、ほっとけるわけないでしょ」

「佐々木君……」

「一応、俺にとって好きな子なんだからさ。少しも振り向いてはくれなかったけどね。

最後のわがままだよ。何も言いたくないなら、何も聞かないから、今日くらい、支えさせてよ」

「佐々木君……」

この人に甘えてしまえたら、どんなに楽だろう。

この人を好きになれたら、どんなに楽だったろう。

でも、柚木君以外、どうしても見ることが出来ない。

「ありがとう。でも、ごめんね」

それしか言えない私に、佐々木君は

「あーあ。せめて今だけでも女子になりたいよ。そしたら気兼ねなく送って行けるのにね」

と、眉を下げた。

「俺には甘えられないか」

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