ボクは桜、キミは唄う
すると、北川君が

「いい気なもんだな」

並んで座る私と佐々木君を見て、あーあと大きくため息つきながら言った。

「あ?何が?」

その言葉に佐々木君がムッとした声をあげる。

「しらばっくれんなよ。卒業するまでとりあえず隠しとこうってこと?まぁ、別に人の気持ちはどうしようもないけどさ」

けど、なんかムカツクんだよねって、北川君は、佐々木君よりもむしろ私を見て怒ったように言っていた。

「は?何怒ってんの?」

ナカちゃんが北川君をペシッと叩く。

卒業まで隠す?何のこと?

「隠し事?してんのはそっちじゃないの?」

佐々木君が今度は北川君と柚木君を指差して言った。

「せっかく工藤さんと二人で楽しく同じ高校に入学と思ったのにさ、ついて来ちゃうんだもんなぁ」

ついて来ちゃう??

そう思ったとき、ナカちゃんが「あー!おー!」と大声をあげた。

「ナカちゃんどうしたの?」

「あー!なんでもなーい!わー!」

「ほ、ほら、みんな、飲も!!」

今度は突然ナオちゃんが大きな声で、みんなに飲みものを勧める。

「たくさん買ってきてくれたんだね!グ、グラス…あ、ありがとう」

ナオちゃんの声に柚木君が反応し、グラスを差し出して飲み物を注ぐナオちゃんをサポートした。

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