ボクは桜、キミは唄う
「うるせー。人の想いを踏みにじったら、女だろうと容赦しねーんだよ、俺は」

「楓花が何したのさ?」

「何って、お前……」

言いかけた時、柚木君が立ち上がって、北川君を止めた。

そして、

「俺、やっぱ帰るわ」

さらに伸びた前髪をフワッと揺らしながら、静かに部屋を出て行ってしまった。

急に、シーンと静まりかえる部屋の中。

「あ……れ?私、もしかして、やらかしちゃった?呼んじゃまずかった?」

アキちゃんがすまなそうに眉を垂らす。

「なんでだよ?」

北川君は面白くなさそうに、ドスンっと床にあぐらをかいた。

「なんでって……何が?」

北川君をなぜこんなに怒らせてしまっているのか、わかんない。

「だから!」

北川君はキョトンとする私にイラついたように少し声を荒立てると、思いがけない質問を私に投げ掛けた。








「なんで佐々木と付き合う事にしたわけ?」










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