ボクは桜、キミは唄う
は?

「え?付き合う?」

どういう事?

「付き合ってんだろ?」

北川君は私と佐々木君を指差しながら訊く。

「なに?その嬉しい噂。俺としてはこれからどう落とそうか考えてたとこだけど、そんな噂があるなら乗っかっちゃおっかな」

佐々木君は楽しそうに笑った。

「噂?は?マジで?」

また変な噂が流れてたんだろうか。

「まぁ、ただの噂を真実にしちゃうかもしれないけどね」

ニッと笑って、私の肩に伸ばしかけた佐々木君の手は、あっさりナカちゃんのチョップで阻止されていた。

「マジで?噂?本当に?」

北川君は何度も私に、確認する。

アキちゃんまでも、「え?噂なの?つき合ってると思ってた!ナオも言ってたよね?二人付き合い始めたって」なんて言い出す。

だから、ちょうどみんなペアになるからいいね!って思って今日誘ったのにね?と彼氏と驚いたように話してる。

「本当に付き合ってねーの?」

「──うん」

驚いてるのは私の方だ。いつの間にそんな噂が立っていたんだろう。

「そこまで確認されて、しかも『うん』って言われて超傷つくんですけど」

もうやめてくれ、と佐々木君が寂しそうにいじける。

北川君は私と佐々木君に「わりぃ」と肩をすぼめて謝ると、コーラをグビッと一口飲んだ。

そして、「そっか。そーか」と、何かを考えている。
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