ボクは桜、キミは唄う
立ち止まり、斜め上から見下ろす佐々木君もまた、柚木君と同じように背が伸びた。

「いつも、本気で受け止めさせないように、少しおちゃらけてみたりしてるけどさ。本気なんだよね」

けど、そう言いながら、わかってんのー?と笑い、また私が軽く交わせるように準備してくれる。

「──ありがとう」

それは、佐々木君の優しさ。

今まで、ごめんねしか言えなかったけど。

「私ね。嬉しいよ。佐々木君の気持ち。今までも何度も、佐々木君の存在に救われたことがたくさんあるもん。

あの日の放課後も、佐々木君がいてくれないと私は立ち直れなかったかも。

だから、ありがとう」

あの日、ただ何も言えず柚木君を見送る私を、いつまでも遠くから見守っていてくれて。

私が立ち上がるまで、何も言わずただそこにいてくれた佐々木君。

差し伸べてくれる手を受け取ることは出来ないけど、すごく心強くて。

嬉しかった。

< 331 / 366 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop