ボクは桜、キミは唄う
「うそ?」
「ごめんなさいっっ」
ただひたすら謝り続けるナオちゃんに私は困惑して、隣にいたアキちゃんに視線を向けた。
「ナオ、ちゃんと自分で説明しな」
アキちゃんはナオちゃんの肩をさすりながら、でも厳しくそう言うだけ。
ナオちゃんは私と一瞬だけ目を合わせるとすぐにそらし、俯いたまま小さな声で話し始めた。
「私あの日……入試の次の日、楓花ちゃんの手紙に気づいて、怖くなったの。柚木君、楓花ちゃんにとられちゃうって。焦って、手紙を自分のポケットにしまったの」
え?
「──柚木君、あの手紙を読んでなかったの」
「え……」
「でも、帰ろうとしたら、私達のクラスの靴箱のとこに柚木君がいて。
何してるのか聞いたら、『工藤さん、知らない?』って。同じ日に同じようにお互いを待ってるんだって思ったら私たまらなくなって、それで」
ナオちゃんは声を震わせて、口を閉じた。
「ごめんなさいっっ」
ただひたすら謝り続けるナオちゃんに私は困惑して、隣にいたアキちゃんに視線を向けた。
「ナオ、ちゃんと自分で説明しな」
アキちゃんはナオちゃんの肩をさすりながら、でも厳しくそう言うだけ。
ナオちゃんは私と一瞬だけ目を合わせるとすぐにそらし、俯いたまま小さな声で話し始めた。
「私あの日……入試の次の日、楓花ちゃんの手紙に気づいて、怖くなったの。柚木君、楓花ちゃんにとられちゃうって。焦って、手紙を自分のポケットにしまったの」
え?
「──柚木君、あの手紙を読んでなかったの」
「え……」
「でも、帰ろうとしたら、私達のクラスの靴箱のとこに柚木君がいて。
何してるのか聞いたら、『工藤さん、知らない?』って。同じ日に同じようにお互いを待ってるんだって思ったら私たまらなくなって、それで」
ナオちゃんは声を震わせて、口を閉じた。