ボクは桜、キミは唄う
「ん?まぁね。で、どう?友達いっぱい出来た?中学校生活楽しんでる?」

「ふふ。うん。大丈夫だよ」

ここまで来ると、お兄ちゃんって言うよりお父さんかも?

「あ、笑ったな?こっちは毎日心配で眠れないと言うのに」

「心配?」

「そ。変な虫がついてないか、ね?」

そう言うと、脩君はギュッと私をハグした。

これはどーにかならないものかと思うんだけど、脩君はやたらとスキンシップしたがる。

チビな私が抱き枕みたいでちょうどいいと言っては、ギューッとしてくるんだ。

「し、脩君!もぉ、私は枕じゃないっっ」

「はいはい。じゃ、またね」

バイビーとにこやかに手を振って、脩君は廊下を走って行った。

脩君が去るとすぐに、クラスの女子が一斉に私を取り囲んできた。

「今のサッカー部の次期部長って言われてる飯田先輩でしょ?工藤さんの彼氏?」

「うそ、先輩と付き合ってたの?」

「いつからいつから?超羨ましいー」

「ちが、ちがうよー」
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