ボクは桜、キミは唄う
必死で否定するけど

「抱き締める感じが慣れてたよね?」

「て事は?実際どこまでいってるの?」

「可愛い顔して、実はやる事やってるんじゃーん」

みんなの妄想は暴走するばかり。

「ナカちゃーん」

助けを求めるけど

「自分で何とかしなさい」

なんて笑ってる。

ナカちゃんは、廊下や階段ですれ違う度ハグしてくる脩くんを入学したての頃から目にしてるから、少しも驚かないんだ。

だからこそ、ナカちゃんの通る声でこの暴走鎮めてくれたらいいのに。

「ちが、ちがうんだよ〜」

人だかりに埋もれながら、小さな隙間から抜け出そうとした時、その向こうにいた柚木君と目が合った。

きっとまたすぐそらされるだろうと思ったのに。

合った視線はいつまでもそらされる事がなくて。

トクンッ。

胸の奥が痛くなった。
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