ボクは桜、キミは唄う
そして素知らぬ顔をして

「はるくんはやっぱり優しいね。どーでもいい女子もほっとけないんだもんね。じゃ、後で待ってるから、早く戻って来てね」

“どーでもいい”を妙に強調して言うと、ニッコリ微笑んで手を振った。

恐るべしマネジャー。

この人だけは敵に回しちゃいけないと、強く感じた。

それからも柚木君の隣を歩く私に、あちこちの女子からの冷たい視線が突き刺さる。

ごめんなさい。心の中で謝りながら、私の首はどんどん俯いていった。

隣を歩く柚木君も何も話さない。

なんで私を送ろうと思ったんだろ?

単なる優しさ?

私がくじいちゃったから?

嫌いなのに?

職員室に一緒に行くのも嫌なくらい、嫌いなのに?
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