ボクは桜、キミは唄う
「何止まってんだ!」

先生の怒鳴り声に驚いて振り向くと、走ってる途中のはずの柚木君が立ち止まって私を見ていた。

「柚木、グラウンド3周!」

「うぇっ」

「返事!」

「はいっ」

柚木君はそのまま私達がいる靴箱に来て、靴を履きかえると、無言のままグラウンドへ走って行ってしまった。

「あーあ。ボサッとしてるから」

ナカちゃんが笑いながら言う。

「あーきっつ〜」

北川君が汗だくで顔を出した。

「遥斗ばかじゃん。ラストでミスるか?このきっつい状態でグラウンド3周、死ぬよ?」

カカカッと北川君が笑う。

「仕方ないか〜、いるはずのない人がいるんだもんね」

私の事でしょうか。
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