ボクは桜、キミは唄う
慌てて手に持つ柚木君のタオルを差し出すけど、真っ赤な血に触れるのを躊躇う私。

柚木君は一瞬だけこっちを見たけど、その顔はすぐに背けられ

「だせー」

呟く声に怒りが混じってるように聞こえた。

「柚木く……」

「あっち行けよ」

私の呼び掛けと、柚木君の声が重なった。

「え……」

一瞬、何を言われたのかわからなかった。

でもニュアンスはしっかり伝わる。

僅かに震える指先を止めようと、ギュッとタオルを握る手に力を入れた時。

「見てんじゃねーよっ」

柚木君は、そんな私に声を張り上げた。
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