ボクは桜、キミは唄う
「そうか。じゃあ決定だな」

安心したようにニコッと笑うと

「えー、合唱コンクールなんだけど、伴奏は工藤にやってもらう事になったから。異議ある人ー」

先生は自分の右手を上げ、教室を見回した。

シーンとしたままの教室。

「異議なしだな。んじゃ、工藤頼むな。昼休み、音楽室空いてたらピアノ使っていいぞー。三浦先生に許可もらっといたから」

「はい」

グランドピアノだと全然音質が違うから、昼休み触りに行こうかな。

考えながら、窓の外に視線を移した。

無意識のうちに、学校に来る柚木君の姿を探す自分がいる。

「来ないね~」

そんな私に気づいてか、後ろから北川君が言うから、胸の奥を覗かれた気分になって慌てて黒板に向き直った。
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