ボクは桜、キミは唄う
「ナカちゃん?」
「新?」

私と柚木君が同時に2人の名前を呼んだ。

「「あれ?」」

2人は恐る恐る顔だけ覗かせてくる。

「お前らー、盗み聞きか?」

「違うって!聞こえないからこれから聞こうとしてただけで、まだ聞いてない」

「同じ事だろ!そうだ新、何だこのメモ」

「あ、まさかマジでひっかかった?」

「お前コノヤロ」

いつもの北川君と柚木君のプロレスごっこが始まる。

「コノヤロ。コノヤロ」

「キブ、ギブ!あ、んな事してっと、また工藤さんに嫌われるぞ」

北川君の言葉に、ハッとした柚木君は北川君から手を離して私を見た。

「ぷぷっ」

そのクリクリの瞳がまるで子犬みたいで、思わず笑ってしまう。
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