ボクは桜、キミは唄う
「だ、大丈夫だ。ほら、笑ってる」

「ぶっ。単純〜」

ナカちゃんが、安心した柚木君を見て笑う。

「笑ってるイコール嫌われてないとは限らないだろ」

「え?」

また柚木君が子犬の目で私を見た。

今度はあんまり真っ直ぐだから、つい固まってしまう私。

「北川、あんまりいじめないでよ。楓花耳まで赤くなっちゃったよ」

「え?え?」

私は慌てて両耳を手で隠した。

それでも柚木君がまだこっちを見てるから、挙動不審なまま俯くしかない。

「おーい、お前らエロい事してないかー」

突然ドアの向こうから山崎先生の声が聞こえ、同時にまた重い扉がキューッと声を上げた。

「やっぱり工藤だけじゃないもんなぁ。エロい事する為に貸してるわけじゃないぞー。工藤練習進んだかぁ?」

「エロい事って、何よ?山崎」

北川君がニヤニヤして問い掛けた。
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