ボクは桜、キミは唄う
「ほ、本当?」

伴奏なんて、隅の方でピアノに隠れていて、実際誰が弾いてるかわからないくらい目立たない場所なのに。

「本当本当。だって柚木がさぁ」

ナカちゃんが言いかけた時、柚木君が、

「ナカッ」

止めてしまった。

「柚木君が?何?」

「ピアノ弾いてるあの子誰?どこの学校?って大騒ぎでさ、俺らもナニナニ?ってピアノに注目したんだよ」

すると、横から北川君が説明してくれた。

「新っ」

柚木君が真っ赤になって北川君を止める。

「ぶぁっはっはっ」

見ていた先生がそこで大笑いした。

「柚木ぃ、ばれちったなぁ。よし、んじゃそろそろ昼休み終わるから片付けたら教室戻れよ〜」
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