ボクは桜、キミは唄う
「あっち〜」

先週制服が夏服に代わった。

女子はブレザーを脱ぐだけだけど、男子は学ランからワイシャツ1枚に変わるから、ガラッと雰囲気が変わる。

最近また少し背が伸びた柚木君は、ワイシャツの襟元をバザバサしながら、暑さに苛立つように眉間にシワを寄せていた。

中学2年、夏。

学ランのホックと同じで、やっぱり第1ボタンは外されていて、チラチラ見える鎖骨に、私は1人でドキドキしてた。

「ナカ、新知らない?」

北川君は小型の扇風機をこっそり学校に持ってきていて、柚木君は暑さがピークになると北川君を探す。

「あぁ、隣のクラスじゃない?」

「またアキちゃんか」

2年は、1年からそのまま持ち上がりなので、クラスメイトも担任も替わらない。

ザリガニとメダカ達もまた一緒だ。

変わった事と言えば、教室の場所と、北川君に彼女が出来た事。

アキちゃんと言うのが、彼女の名前。

2年になった時に隣のクラスに転入してきて、北川君が一目惚したらしい。




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