ボクは桜、キミは唄う
マネージャーは、柚木君が楓花と呼ぶようになってから今まで以上に敵視してくるようになった。
今じゃ怖くて陸上部に近づく事もできない。
柚木君にとっての私が『工藤さん』だった時は、距離はそれほど縮まらなかったけど平穏な幸せがそこにあって。
私はそれだけで十分だったのに。
柚木君が『楓花』と呼ぶだけで、縮まった距離の分、敵が増えた気がする。
“俺の女だ”って周りに伝えたかったんじゃない?って、ナカちゃんが言ってた。
女子からの告白にもうんざり気味だったし、脩先輩に対する嫉妬からかもよ?って。
脩君は私にとってお兄ちゃんみたいな存在だよって柚木君には話したけど、柚木君は目をそらしたまま頷くだけだった。
「あいつ、ムカつく」
脩君が去った後、柚木君がボソッと言った。
「え?」
びっくりして柚木君を見上げると
「どんかん」
って、私からまた取り上げたウチワで、私の頭をパサッと叩く。
今じゃ怖くて陸上部に近づく事もできない。
柚木君にとっての私が『工藤さん』だった時は、距離はそれほど縮まらなかったけど平穏な幸せがそこにあって。
私はそれだけで十分だったのに。
柚木君が『楓花』と呼ぶだけで、縮まった距離の分、敵が増えた気がする。
“俺の女だ”って周りに伝えたかったんじゃない?って、ナカちゃんが言ってた。
女子からの告白にもうんざり気味だったし、脩先輩に対する嫉妬からかもよ?って。
脩君は私にとってお兄ちゃんみたいな存在だよって柚木君には話したけど、柚木君は目をそらしたまま頷くだけだった。
「あいつ、ムカつく」
脩君が去った後、柚木君がボソッと言った。
「え?」
びっくりして柚木君を見上げると
「どんかん」
って、私からまた取り上げたウチワで、私の頭をパサッと叩く。