ボクは桜、キミは唄う
「アキちゃーんっマイラーブ、そすぃー」

大声で歌う北川君が、隣の教室から戻って来た。

「遥斗君、扇風機を君に授けようではないか。はっはっはっ」

元々高かったテンションは、彼女ができてからさらに高くなった気がする。

それに反比例するように、ナカちゃんの元気がなくなってきた。

「おせーよ、新」

「ん?暑いか?愛する2人が肩を並べるだけでそりゃあもう体温急上昇だよなぁ。でも俺はアキちゃんと離れて極寒よ。さぶさぶっ。だから君達に扇風機を授けようじゃないか。壁と壁の隔たり。俺とアキちゃんはロミオとジュリエットだなぁ」

話してる途中で、柚木君は興奮する北川君から扇風機を奪い

「帰りアイス買お」

北川君の話を聞かずに、扇風機の風を一気に浴びながら言っていた。

「ガリガリ君?」

私が聞くと

「そー。ガリガリ君」

柚木君はニカッと笑った。

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