ボクは桜、キミは唄う
無理だよ。

柚木君がこんな近くにいて、しかも柚木君の部屋で、2人きり。

冷やす事なんてできない。

けど、こうして見つめ続けられてたら、体温は上昇する一方だ。

コクン。

仕方なく、頷いた私は柚木君からアイスを受け取ると、その場にチョコンと正座した。

「あー、アルバムでも、見る?」

場繋ぎか、部屋をキョロキョロ見渡した柚木君は、急に机の下から卒業アルバムを取り出す。

「うん、見たい」

「そうだ、5年の宿泊研修のとこで、ナカも写ってるよ」

「本当?ナカちゃん見たい」

柚木君はアルバムをペラペラめくると、

「これこれ」

と、一枚の写真を指さした。

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