ボクは桜、キミは唄う
そこには、真っ黒になった自分の軍手を北川君の顔に押し付けてる、ジャージ姿のナカちゃんがいた。

2人とも大笑いの、いい写真。

「火をおこした時だよ。手、汚ねー」

5年生のナカちゃんは今より髪が短くて、カチューシャをしていた。

「可愛い」

ナカちゃん、この頃から北川君の事好きだったのかな。

最近のナカちゃんと北川君の関係と見比べると、この時の方がずっと自然な気がする。

「ナカが転校する時さ、俺と新、学校さぼってナカんちまで行ったんだよねー」

「そうなの?」

「うん。新、あの頃ナカが好きで、絶対告白するんだっつってさー」

うそ。

「北川君が、ナカちゃんを?」

「うん。けど家まで行ったら、区域が変わるから転校だけど、家すぐそこなのよ〜また遊びに来てね、なんてナカの母ちゃんに言われて、拍子抜け」




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