わがままな君が好き

その声に、今度は隼の顔が引きつる。


「お前な・・・・今本当にいやそうな顔したろ」


根が正直なもので―――


とは言わなかったけれど。


未雨の口から出た言葉は、やっぱり大スターに向けられたとは思えないものだった。


「だって、省吾はそんなに意地悪じゃないもん」


「って、どういう意味だよ。俺がいつ意地悪したよ？」


「意地悪じゃん」


「意地悪じゃねえ」


「意地悪だよ」


そんな言い争いをしていた時―――




「次のシーン行きまーす！」


という声に、未雨たちは同時にぴたりと動きを止めた。


その様子に、真紀がぷっと吹き出した。


「息、あってるかも」


「あってない！」


「あってねえよ！」


とまたしても声が重なり。


真紀が肩を振るわせ笑いを答える中―――


未雨と隼は、じろりと睨みあったのだった・・・・・。