わがままな君が好き
「そうかぁ?だって、あんなに妹のために頑張ってる兄貴にあの態度、絶対可愛くねえだろ」


「瞳は、寂しいだけだもん。いつも1人でごはん食べてるから―――」


「けど、瞳のためだろ?―――っつーか、やっぱお前、瞳に似てるな」


くすくすとおかしそうに笑う隼。


「マネージャーと話してる時はきゃぴきゃぴしてるその辺の中学生に見えたのに―――今は、ちょっとつっぱてる瞳そのものだ。これからはお前のこと瞳って呼ぼうかな」


「え・・・・・」


その言葉に、未雨は複雑そうに顔を顰めた。


瞳は、ちょっと意地っ張りだけれど、本当はさびしがり屋で兄思いの女の子だ。


そんな瞳に似ていると言われ、喜んでいいのかどうか・・・・・


「微妙な顔してんな。良いじゃん、役になりきってると思えば。俺のこともお兄ちゃんて呼べよ」


「ええ?」


思わず、いやそうな声を出してしまう。


省吾は妹思いの優しい男だ。


今の隼の言動は、どう考えても省吾とは重ならないように思えた。



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