海上船内物語
「俺は“死神船”から離れない・・・・・・・・」
「おい!てめぇ!!」
どん、とシーザを押し、カイルは隠し扉の戸を開けた。
「・・・・・・親父を消す。お前ら海賊も、みんな消してやる。」
ぞわり、と周囲の空気が変わった。
シーザの体に鳥肌が立つ。
「おい!待て!!」
カイルは船長室のベランダの扉を開け、そこの柵に立つ。
途端に血臭が鼻をついた。
「・・・・あぁ、これだ・・・・。これが、俺の居場所だ・・・・」
空気一杯に広がる血の匂いを吸い込み、カイルは薄く嗤った。
「カイル!!」
シーザが少し遅れてベランダに出てくると同時に、カイルは柵からふわりと落ちる。
真下の甲板へ真っ逆さまに下りて行く。
ダン!!
激しい衝撃音がした。
屍の上に着地したカイルが、その屍に剣を突き刺しながら、口角を薄く上げた。
「ころす・・・・・・・・・・・・」
鼻を刺す刺激臭を肺に一杯吸い込み、カイルは顔をゆっくり上げる。