海上船内物語
「・・・・・・・妹・・・・・・・・・」
「それより船長さん。カイルなんかよりもっと大変な事があるって知ってた?」
「大変な事?」
アキの足元に、カイルが飛ばす血飛沫が撥ねた。
「・・・“シーザ” って言ったら分かるよね?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
アルの金髪が揺れた。
アキの表情が次第に険しくなっていく。
「・・・・・・その大海賊連盟、と言うものに、奴が居るのか」
「ベイズラリアの幹部、アリアの船長だよ。貴方の相手は俺じゃなくて、あの人だね」
アキの前を通り過ぎていくアル。
アキは何も手を出さなかった。
潮風が、血臭を運ぶ。
からん。
突然、その金属音によって悲鳴と怒号は止んだ。
「、ぅ、あ、あああああああああああああああああ!!!」
カイルの甲高い悲鳴に、アキが振り向く。
「!」
カイルは、“男”によって視界を遮られていた。
その“男”を見て、アキは息を呑む。