海上船内物語
「・・・少し殺りすぎなんじゃねぇの?カイル」
「、う・・・・・・・・・・・・」
血がこびり付いた手から、剣が離れる。
脚が震えて、歯がかみ合わない、“恐怖”に慄いている表情だった。
カイルの視界を手で覆った男、シーザはそのままカイルを持ち上げる。
「や、だ!触るな!触るな!!触るな!!」
視界を覆われたまま、カイルは発狂したように叫んだ。
シーザの口元が上がる。
「アランのおっさん!こいつ連れてけばいいんだろ?」
「あぁ、シーザか。急に大人しくなったな、そいつ。お前何かカイルに遣ったのか?」
「遣った。」
カイルを抱え込んだまま、シーザはアキ達に背を向ける。
そのまま自分達の船に戻るようだった。
「・・・・・おい、シーザ」
静かになった船で、アキが呟くように名前を呼ぶ。
「・・・・アキ、お前その憎たらしい顔は相変わらずだな。カイルは返してもらうからな」
「返すも何も、俺はカイルを借りた覚えが無いのだが」
「こいつは死神船を偵察する為にここに来たんだよ。案外お前も鈍感だな、アキ」
ぴくりとアキの眉が動く。
「“仲間”とやらを信用しすぎるお前には困ったもんだなあ!いつ裏切るか分かったもんじゃねぇのにな!」
シーザの高笑いが船に響いた。