海上船内物語
「はっ、殺れるモンなら殺ってみろよ」
嘲笑しながら、くるりとアキに背を向けるシーザ。
「・・・・・・・・・・・お前の“所有物”が無くなって不満なら、取り戻しに来いよ。俺は、お前と殺り合いたいだけだ」
「・・・・・・・・・・」
遠くで見ていたアランが、にったりと笑った。
それを見て、シーザが呆れたように溜め息を零す。
アキの隣には、いつの間にかウルが居た。
「・・・船長、」
アキは死神船から去って行く海賊達を、見つめている。
「・・・・ウル、貴様はカイルを取り戻したいと思ってるか?」
「は?あ、いや・・・・・・・、正直の所、自分でも良く理解してません・・・」
「そうなのだ。理解できないんだ。」
「・・・・・・はぁ、」
ただ眺めているだけのアキを、不思議そうに見遣るウル。
ずっと座っていたアランはやっとの事で腰を上げ、満足そうに笑う。
「おい若僧、わしは舞台を楽しみにしてるぞ、ガッハッハッハ」
血の滴る剣を払い、豪快に笑いながら、アランの背中が遠くなっていく。
「舞台・・・・・・」
日に当たった屍が、少しづつ異臭を放ってきた。
その匂いに顔を顰め、アキは不機嫌そうに剣をしまう。