海上船内物語
□乱
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ぎし、と堅いベッドにカイルの体が寝かされる。
「シーザ、カイルはどうだ?」
「気失ったみてぇだ。当分起きそうに無ぇぞ」
「あぁ、寧ろそっちの方が助かるわ。本当手に負えん娘だ」
アランが苦笑する。
シーザはベッドの淵に腰を掛け、足を組みながらアランを見遣った。
「おっさんは何を狙ってんだ」
「んん?何をって、何をだ?」
とんとん、と苛立つようにシーザは指を動かす。
「とぼけんじゃねぇぞ。おっさん、何か企んでるだろ。アキと俺を、無理矢理闘わせるような真似しやがって」
「無理矢理闘わせる?ガッハッハ」
ぴくりとシーザの眉が動く。
そして、急にアランの表情が固くなった。
「愉しそうだろう?俺が殺した男の、舎弟同士が殺し合いをするんだぞ?
此れ程興奮するものは無いだろう。しかも、ソレに俺の“娘”が絡んでくるものなぁ」
壁に背を凭れさせながら、アランは喉を引き攣らせて嗤う。
「・・・俺をここで飼ってるのも、それが目的なんだな」
「さあな。それはどうか分からん。運命、というものを信じてみるのも面白いかもしれんぞ?」
「・・・・・お前が、仕掛けたのか」
シーザがアランを睨む。