海上船内物語
「すまん、寝ていた。」
「知ってます。船長が二日連続ぶっ続けで寝過ごす事は、今日で初めてじゃないですからね」
「・・・・・・・・・・・」
で、とウルが話を続けた。
「今、港に着きました。船員達は見張りをつけ、それぞれ休んでいます」
「・・・・・・・・・・そうか」
顎に手を遣り、少し考え込むアキ。
「・・・・・・港に来た意味が無くなってしまったな」
「そうなんです。」
「先日の乱闘では、死神船船員の欠員はどれ位なんだ?」
「五、六人です。腐敗が早かったので海に葬りました」
「・・・・・・・・・そうか」
窓から外の様子を見るアキ。
「・・・・・・六人も船員を失ってしまったか」
「・・・・・・はい」
はぁ、と溜め息をつく。
「あれだけの来襲で、六人と言う被害は多くもないかもしれん。取り合えず今日は政府にその事を伝えるか」
「では、船員にそう伝えます」
「あぁ」
ウルが部屋から出て行き、アキはただ窓の外を眺めていた。
(まだ寝れるかもしれない・・・・・・・)
その思いを振り切り、落ちているコートに袖を通す。