海上船内物語
「いらない。食欲が無ぇんだ」
不機嫌そうにそう吐き捨て、カイルはシーザに背を向けてベッドに横たわる。
「・・・三日も何も食わずだったら死ぬぞ?」
「本望だ」
「・・・・・・・・捻くれたなぁ手前ぇ」
「・・・・・・・痛っ?!」
横たわるカイルの腕を掴み、強引に体を起こすシーザ。
ますますカイルの眉間の皺が深くなる。
「・・・何すんだよ」
「別に。大事な人質が死なれたら困るだけだ」
怪訝そうに掴まれた腕を擦りながら、睨み上げた。
シーザがスープを掬う。
それを、カイルに差し出す。
「うわお前、何のつもりだ」
「口開けろ」
「やなこった」
「手前ぇブン殴るぞ」
「ころすぞ」
「・・・・・・・・・・・・・手前ぇ」
カチンと来たシーザが、無言でカイルの顎を掴む。
そのまま口を抉じ開け、喉奥までスープを流し込んだ。
「っ、・・・・・げほっ・・・・おまえ・・・!!」
「手前ぇが強情だからだぜ。気管支に入ったら悪ぃな」
「入った!!」
「悪ぃ悪ぃ」
シーザは咽込むカイルを哀れみの目で見下ろした。