海上船内物語




「何のつもりだよ!お前、」

「別に何のつもりも無ぇぜ?俺はアキと闘う。それだけが望みだ。」


シーザがまたスープを無理矢理カイルに飲ませる。



「・・・・お、今度は上手く飲めたじゃねぇか」

「上手く飲めた、じゃなくてお前が息道に流し込んだせいだ!」

「手前ぇが口開けないからだろぉ?」


面倒臭そうにシーザが首を振る。
カイルの眉間に皺が更に深く刻まれた。



「・・・・・・俺、また人殺ったのか・・・・・・」


血が付いている手を固く握り締め、カイルはそう呟いた。



「何だ手前ぇ、自覚が無ぇのか?」

「自覚くらいはある。けど、抑えられないだけなんだ」

「抑えられない?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・うわっ!」


カイルが大人しくなったのを見計らい、シーザは強引にスープを飲ませる。



「・・・いきなり飲ませるのやめろよ。心臓に悪いだろ」

「じゃあ飲まないのやめろよ。体に悪いだろ」


苛々した表情でシーザを見上げるカイル。
シーザは飄々と笑って見せた。



「口開けろ」

「・・・・・・・・・・・」



眉を寄せたまま、カイルが大人しく口を開ける。

シーザが“偉い偉い”と、スープを飲ませた。




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