海上船内物語
「ハッ?死神船?!海賊狩りの?!」
「あぁそうだ。」
少年は暫く口をぱくぱくさせ、声が出ないようだったが、落ち着きを取り戻したらしくアキと視線を交わした。
「・・・・・・・ここに来たって事は覚えていない。父親が漁師なんだ。あんたの船をたまたま見かけて、生活苦しさに俺を捨てたんだろう」
「漁師・・・・・・・・・・・」
(海賊だったら殺そうと思ったが・・・・・・漁師は殺すなとリゲに言われているからなぁ)
「その漁師は“死神船”だと気付かなかったのか?」
「知らん。俺は気絶させられていたからなぁ」
「生意気な口を聞く小僧だな」
アキの長刀が少年の顎を撫でる。
「で、何故まだここに居るのだ。早くこの船から失せろ」
「船から飛び降りろってのか?死んじまうぜ、」
「俺には関係が無い。飛び込むなり自殺するなり、何なりすればいいだろう」
「・・・・・・・っ」
カツ、とアキの靴が鳴った。
「・・・・・、“死神船”ってさぁ。海賊に怨みを持った奴が乗るんだろう?」
「あぁ、間違っていない」
「俺も、乗せてくれ」
アキは少年を顰め面で見下ろした。
何言ってるんだこいつは、と虫けら以下を見るような目で。
「この船の船員は確かに全員、海賊のせいで家族や人生をにされた奴らが乗っている。だがな、」
「だが・・・・・・・・?」