海上船内物語



「何か犬に餌やってる気分だな」

「・・・・・・犬で悪かったな」


スープを飲み込みながら、カイルはふてぶてしく言い放った。



「食えるなら自分の手で食えよ」

「血がついてる手で食いたくない。」

「面倒臭いな・・・・・・・」



最後の一口をカイルに飲ませ、皿を机に置く。

カイルはさっさとベッドに横たわった。



「手前ぇ礼くらい言えねぇのか」

「・・・・・・礼。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・っ・・・・」


頭に来たシーザが、カイルの体をこちらに向けようとしたとき。
カイルの声が響いた。



「・・・・・・アキかと思った」

「あ?」

「シーザのこと、ちゃんと見たこと無かったから、さっきアキかと思った」


ベッドに顔を伏せたまま、カイルが呟く。



「髪の色が同じだからだろ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・違う」

「じゃあ何だよ」

「雰囲気。」



シーザの動きがぴたりと止まった。



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