海上船内物語
伏せていると思っていたカイルの顔が、しっかりシーザを見ている。
シーザの顔に、カイルの腕が伸びた。
「・・・・・・よく見ると、目の色が違う。と言うか、全然似てないや」
「そりゃそうだろ。アキとは何の繋がりも無ぇしな」
「・・・・・・・・だよな」
シーザの頬にカイルの指が触れた。
その冷たさに眉を寄せる。
「今この船は、どこに向かってる?」
「俺らのアジトがある市だ。一応住める所があるからな」
「・・・・・・ふぅん」
カイルが手を戻し、顔を伏せた。
「・・・・お前、俺の事一瞬見たとき、顔が嬉しそうだったな」
「・・・・・・・・・・・・」
「アキって勘違いしてたんだな」
「・・・・・・・・・うるさい」
「残念か?俺で」
「・・・・・・・・・・・・・」
窓から微かに波の音が聞こえた。
それを聞きながら、カイルはゆっくり目を閉じる。
「・・・アキとシーザって、どんな関係なんだ?」
カイルが顔を上げて、シーザに真っ直ぐ言った。