海上船内物語
「お前が居た“死神船”の初代船長、ガルフ・イティンジャーと言う男は知ってるな?」
「あぁ。」
「お前が知ってる通り、アランのおっさんに殺られたんだ」
「・・・・・・知ってる」
カイルが体を起こし、座りなおした。
「アキと俺は、ガルフの舎弟だったんだよ」
「舎弟?!二人が?!」
「あぁ。海賊に親を亡くされて、身寄りが居なかった時に、ガルフに助けてもらったんだ」
カイルが息を呑んだ。
「アキを知ったのはそれから直ぐの日だった。“海賊に堕とされた村”の唯一の生き残りのアキを、ガルフは拾ったんだ」
「ふ、たりが・・・・・・」
「あぁ。結局、海賊狩りを始めると同時にアランに殺られたけどな」
カイルが俯いた。
血がこびり付いた手を握り締め、視線を漂わせる。
「・・・アランは腕が立つ剣士だったんだ。だけど、俺とアキを庇ったせいで、死んじまった」
シーザが立ち上がった。
カイルはびくりと反応して、ベッドの奥に詰める。
「・・・なにビビってんだよ。何もしねぇよ」
「何もしないって言ってんのに何でベッド上がってきてんだよ!!」
「俺のベッドだから。」
カイルを奥に押しやり、シーザは狭いベッドに横たわった。