海上船内物語
「・・・・・・じゃあ、何でシーザは・・・海賊になったんだよ。本当は親父が憎いだろ?」
じーっとカイルを見てから、シーザは可笑しそうに言った。
「言ったろ?俺はアキと闘いたいだけだ。
あいつが“海賊狩り”になるなら、俺が海賊になって、その内巡り合って闘った方が面白いだろ?」
「何でそこまでしてアキと・・・・・・」
「俺はあいつが嫌いだ。何でも正論言いやがって、自分のしている事は正しいと言い張りやがる。その真面目さを捻り潰したくなった時があってよ」
「うわっ!!」
呆然としていたカイルの腕を掴み、自分の横に寝かせるシーザ。
「アラン、は正直今でもよく分からん。憎いっちゃあ憎いが、あのおっさんには言葉に出来ねぇ、男の“何か”を持ってるからなぁ」
嬉々とした表情のシーザがカイルに笑いかけた。
「・・・・・・何でアキは親父を斬らなかったんだろう・・・。アキならむかつく奴は早いうちに斬る、って言う性格なのに」
「何かあんだよ、あいつにも」
「・・・・と言うか何でシーザが寝るんだ」
「手前ぇが起きるまで俺はずっと起きてたんだぜ?!感謝しやがれ!」
「人質だからだろ?!人情的なものも混ぜ込め!」
「知るか!」
シーザがもう面倒だ、と言う様にカイルの頭を抱え込んだ。
「何すんだ、」と暴れるカイルにも体力は残っておらず、そのまま大人しくなる。
太陽が、沈んで行く。