海上船内物語
「そう、なんですか・・・・・。俺もこんな部屋があったなんて、知りませんでした」
「・・・ショックを受けると思ってな。随分前に扉を立てたんだ、ここに」
ウルが視線を血痕に落とす。
「・・・“アラン・ベレナイシーが討つ”って・・
ガルフ、はアランに殺られたんですか・・・・・・?」
ウルは震える指で、血文字をそっとなぞる。
そして、困惑した表情でアキを見上げた。
「・・・船長!!どうしてあの時、アランを斬らなかったんですか?!」
怒りのような、哀しいような、戸惑いが見られる顔でウルはアキに縋り付く。
「・・・ウル、アランを斬るにはまだ早い。俺はそう判断した」
眉を寄せながら、苦しそうにアキは言う。
ウルは目を見開き、アキを見上げた。
「船長、・・・・・・?何かお考えで・・・・・?」
アキは眉を寄せたまま、部屋から出るように指示する。
「・・・・ウル、死神船でも腕が立つ、お前にだけ言おう。
カイルとシーザをこの“死神船”に入れる」
ベッドに腰を落ち着けるアキは、そう言った。
「カイルとシーザを?!」
「あぁ。一応、お前の意見も考えるがな。」
アキはウルを見遣った。
ウルは驚いたように、瞬きを数回する。