海上船内物語
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水を体にかけ流す。
下肢にこびり付いていた血が溶けて、流れる。
そのまま頭に水を被って、髪の水分を振り落とした。
用意していた布で体を拭き、置いてあった服に身を包んでから、カイルは扉の向こうで待ってる人物を呼ぶ。
「・・・・・・兄ちゃん、終わった。」
素っ気無く呟くと、カイルと同じ金色の髪をした、アルが入ってくる。
「・・・うわ、髪まだ濡れてるじゃん。ちゃんと拭いた?」
「拭いたって」
アルはカイルの膝裏に手を入れ、上体を支えながら、持ち上げた。
「親父がお前に会いたいって煩いんだよ」
「えぇ、嫌だ。こっちは会いたくもない・・」
「冷たいなぁカイルは。少しは会ってやんないの?」
「見たくもない。兄ちゃん、よくあんな親父の下で生活できるよな」
アルに抱き抱えられたまま、カイルは船長室まで連れてこられる。
「船長は?」
「シーザのこと?まだ寝てると思う」
「ふぅん」
アルは遠慮なく船長室の扉を開けた。