海上船内物語










□ □ □



水を体にかけ流す。


下肢にこびり付いていた血が溶けて、流れる。

そのまま頭に水を被って、髪の水分を振り落とした。



用意していた布で体を拭き、置いてあった服に身を包んでから、カイルは扉の向こうで待ってる人物を呼ぶ。



「・・・・・・兄ちゃん、終わった。」


素っ気無く呟くと、カイルと同じ金色の髪をした、アルが入ってくる。



「・・・うわ、髪まだ濡れてるじゃん。ちゃんと拭いた?」

「拭いたって」


アルはカイルの膝裏に手を入れ、上体を支えながら、持ち上げた。



「親父がお前に会いたいって煩いんだよ」

「えぇ、嫌だ。こっちは会いたくもない・・」

「冷たいなぁカイルは。少しは会ってやんないの?」

「見たくもない。兄ちゃん、よくあんな親父の下で生活できるよな」



アルに抱き抱えられたまま、カイルは船長室まで連れてこられる。


「船長は?」

「シーザのこと?まだ寝てると思う」

「ふぅん」



アルは遠慮なく船長室の扉を開けた。



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