海上船内物語
□始
□ □ □
胸辺りまで伸びている髪を鬱陶しそうに払い、足を踏み出す。
出店に群がる人々は、皆振り返った。
「・・・・おいおい、あの子は・・・・・・」
「どこかで見たことあるねぇ・・・・」
赤の行列。
赤に染められた布を体に巻く、多大な行列の中央に、大事に守られるようにして、彼女は歩いていた。
人々は視線を奪われる。
その視線に、彼女は嫌悪感丸出しに顔を顰めた。
「やだ、また戻ってきたわ・・・・」
「・・・・恐ろしい・・・」
その一行を見て、店の裏に隠れる者、
「始めて見たぜ、こんなの」
「あぁ、目が合った」
興味だけで近付く者。
その二種類だった。