海上船内物語
「それにしても凄い光景でしょうね。がらの悪い海賊が、カイルを連れ歩いてる所なんて」
「あぁ、よく考え付いたよな、おっさん」
「あの人は妙な所で冴える人ですからね」
カイルの心臓が高鳴った。
太陽に照らされて、海面がゆらりと揺れる。
あれから、三年が経った。
いくら待とうとも、大海賊連盟の所に死神船は来ず、そのまま月日が流れるだけだった。
三年間、何も変わらずカイルは過ごしていた。
たまにふらりと海に出て行く海賊船を見送っては、帰りを待つ。
それだけの三年間を過ごしていた。
「やっと、海を見れた・・・・・・・・・」
誰にも聞こえないような声で、カイルは呟く。
そんなカイルを、盗み見るようにして、シーザは横目でその姿を捉えた。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
それぞれが違う思いを抱きながら、月日は過ぎていった。