海上船内物語
「・・・・・・・・・・死神船の船員である事において、規則がある。」
「規則?」
「一つ、弱者は絶対に入れない。これは絶対だ。二つ、女を入れない。これは政府の奴らが勝手に決めた。まぁ力無い女を入れる意味も無い。三つ、海賊と関わりを持たない。四つ、海を愛す。」
ぴ、と少年の血がついた刀を振るアキ。
「ヨユーでそんなのクリアできるぜ」
少年は中指を立てる。
一瞬にしてアキの剣先が喉元に食って掛かった。
「口と行動を慎め」
「すいませんでした!!!」
そして、けらけらと笑う少年。
「俺は死神船船長、アキだ。」
「俺は漁師の息子だった、カイル。」
「カイルか。よろしく」
「あぁ、よろしく!」
カイルと言った少年は負傷していない方の左手をアキに差し出した。
無表情で握手をしながら、アキはカイルに尋ねる。
「貴様は本当に武術などは習ってないのか?どうも掴み方が気になってな」
「ほら、生に対する執着が凄いんだって、俺。ここで終わるか!!って思ったら目開いて掴んでた。いやー痛いな、これ。」
「当たり前だろう、能無しが」
「元はと言えばアキが振るった剣だろ?!」
「勝手に掴んだのはお前だ」
「・・・・・・・・・・」
(人はピンチに遭遇するといつもの倍力を発揮できるとか聞いたな・・・、コイツもそうなのかもしれない)
長刀を鞘に仕舞うと、アキは着いて来い、とカイルに指示をした。