海上船内物語










□ □ □



薄暗い部屋。

小さな窓と机と、古びたベッドだけが置いてある、簡素な部屋でカイルは寝ていた。



(外が、うるさい・・・・・・)


睡魔に耐えられず、瞼が閉じたまま、寝返りを打つ。


(ねむい・・・・・・・・)


外の様子を見ようと、カイルは瞼を薄っすらと開ける。

辺りはもう日が落ちていて、部屋の明かりは机の上の蝋燭だけが頼りだった。



(人・・・・・・・・。誰だろ)


近くで立っている人影を目に入れると、カイルははっとし、勢い良く体を起こした。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・、だれ?」



暗くて、顔が窺えない。

カイルは目を細めながら、黒い影を見上げる。



「貴様の脳には何が詰まってるんだ。何故この状況で寝ようとする」

「わっ!!」


がしり、と掴まれた頭。



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