海上船内物語
「“死神船”が、貴様を連れ戻しに来た。」
多少肩に付く黒髪を払いながら、アキはふてぶてしくそう言い放った。
「・・・・・はぁ?」
カイルは首を傾げた。
その様子を見て、アキはカイルの頭を思い切り叩く。
「いっだ!!」
「二度も言わせるな。俺が、お前の力を必要としているんだ」
カイルは間の抜けた顔で、もう一度アキを見上げた。
「・・・私が死神船に入る、ってこと?」
「・・・貴様が“私”を使うと非常に心地が悪いな」
「・・・・・・どう言う意味」
お互い、怪訝そうに睨み合ってから、アキは立ち上がる。
「この船は、“アリア”とか言ったな。シーザが船長か?」
「あ、あぁ、うん」
突然な質問にカイルは間抜けた声を出す。
アキは不愉快な表情をし、そのままカイルの腕を掴んだ。
「きっと今頃、シーザ意外潰れているだろうな。貴様の兄貴は分からんが」
「・・・・・・・・は?」
ぐい、と引っ張られカイルは立ち上がった。