海上船内物語
「この“アリア船”は俺が乗っ取る。大海賊連盟の幹部とかだったな。敵は地道に潰していくしかないな」
「乗っ取る?死神船が?」
アキにぶら下がったまま、カイルは不可解な表情を浮かべ、苦笑した。
「無理だよ。皆強いし。」
「それを言うなら、死神船だって弱くはないぞ」
「だって、一回大海賊連盟に負けたじゃん」
アキはカイルを引っ張ったまま、薄暗い部屋から出る。
廊下に出ると、すぐに血生臭い悪臭が鼻をついた。
「見るか?今の、死神船を」
アキは不敵に笑い、どん、とカイルの背中を押して、甲板に出るよう指示をする。
カイルは疑いの眼差しを向けながら、甲板に続く扉を引いた。
すぐに、赤色が目の前を舞った。
カイルは一歩、退く。
途端に鼻をつく血肉の匂いに、顔を歪めた。
「なに、これ・・・・・・」
甲板に一歩出ると、足元に肉片が転がっていた。
体の一部一部が落ちている。