海上船内物語
「シーザをどうするつもり・・・?」
「連れて行くんだ。死神船に。お前と一緒にな」
ぽん、とウルはカイルの頭に手を置いた。
周りが血塗れなのに対し、二人は傷ひとつついていなかった。
「・・・二人、だけ?」
「あぁ、あとは船を操縦する航海士と来た。正しくは三人、だな。」
カイルの心拍数が徐々に上がっていく。
嫌な汗が、背中を伝った。
「アキ、とウルだけで、こんなになったの?」
カイルは動揺しながら、真っ赤になった船を見渡す。
アリア船の近くに、黒い船が停められていた。
「これでも、死神船が弱いと言うか?」
アキは口元に笑みを浮かべながら、カイルを見下ろした。
「・・・・・・・・・・・シーザは?」
「黒髪の男なら、部屋に閉じ込めた。カイル、お前が死神船に戻りたくなければ、ここに残す。どうする?」
ウルがカイルと視線を合わせ、そう言った。
カイルが俯く。