海上船内物語



「・・・私、この三年間、剣握ってない。もしかしたら、腕鈍ってるかも」


「そしたら死神船で鍛えれば良い話だ」


カイルは顔を上げた。
何か言おうとして、またやめる。



「お前、死神船には戻りたいけど、戻らないって顔してるな。そのつもりだろ?」


ウルの浮いた笑顔がカイルの核心を突く。


「船長は無理にでも連れてくだろうけどな」


カイルの心拍数が上がった。
冷や汗が滲んで、視線を泳がせる。



「死神船に・・・・・・・戻りたい、けど、」


カイルの張り付いた喉から出た声は、震えていた。



「また自己嫌悪か。見苦しいな」

「うわっ!!」


ひょい、とカイルの体が持ち上がる。


「・・・アキ、」

「船長!!」


カイルはアキの肩に担がる。
反対の右肩の方には、シーザが担がれていた。



「シーザ、」

「ただ気を失ってるだけだ。行くぞ」


簡潔にアキは吐き捨てると、そのまま歩き出す。



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