海上船内物語
『お前、母さんはいないのかー?』
はやく
はやく
はやく
『んー、喋らないなー。そもそも何でここに居るんだ?』
はやく、消えて
はやくしないと、じぶんは狂うんだ
『ん?何だその手に持ってるのは・・・・、』
“やさしい”のは大嫌いなんだ
勢い良く腕を振れば、赤は舞う。
開かれた目は忘れない。
『、・・・・・・っ、お前、 』
苦しそうに、歪められる顔。
もう一度、腕を振る。
『・・・・・・・・おじさん、なんでよけないの』
不意に、溢してしまう。
『やっと、喋ってくれたな・・・・・、
そんな目をしてる子供の剣なんて、避けれるかよ』
ずるり、そいつは落ちる。
べっとりと、掌に赤が付いた。